公務員試験の内容・方式を知る
「公務員試験=教養+専門の筆記」という像で対策を始めると、かなりの確率で外します。 いま募集されている試験の中身は、団体ごとにばらばらです。
下の数字は、各自治体が公式に書いている試験内容の原文から、 その語が出てくるかを数えたものです。分類も要約もしていません。
何が課されているか(原文にその語が出てくる件数)
| 課されるもの | 区分 | 割合 | 対策で要ること |
|---|---|---|---|
| 面接 | 1025 | 93% | ほぼ必ずある。回数は自治体で違う |
| SPI・SCOAなど民間型の総合検査 | 343 | 31% | 民間企業の採用で使われている検査。専門科目の勉強なしで受けられる |
| 論文・作文 | 338 | 31% | 書く練習をしていないと時間内に終わらない |
| 書類選考・エントリーシート | 327 | 30% | 申込の時点で選考が始まっている。締切間際に書くと間に合わない |
| テストセンター・自宅受検 | 225 | 20% | 会場と日時を自分で選ぶ。同じ日の他市と併願できることがある |
| 専門試験 | 129 | 12% | 法律・経済など。対策に最も時間がかかる |
| 教養試験 | 88 | 8% | 公務員試験の従来型。時事・数的処理・文章理解など |
| 録画面接・Web面接 | 38 | 3% | 遠方でも受けやすい。撮り直しの可否は自治体で違う |
| 集団討論・グループワーク | 35 | 3% | 一人で対策できない。相手役が要る |
| 体力試験 | 11 | 1% | 消防・警察などで課される |
| プレゼンテーション | 9 | 1% | 経験者採用に多い。持ち時間と資料の可否を確認する |
ここを読み違えないでください。これは「その語が原文に出てくるか」の数です。 「第1次:筆記試験/第2次:面接」としか書いていない自治体があり、 その筆記が教養なのか専門なのかは、受験案内を開かないと分かりません。
現に、教養とも専門とも書いていない区分が910件(83%)あります。 これは「筆記が無い」という意味ではありません。書かれていない、というだけです。 当サイトは書かれていないことを補いません。
専門試験は、思っているほど多くない
原文に「専門」が出てくるのは129件(12%)。 一方、SPI・SCOAなど民間型の総合検査に触れているものは343件(31%)あります。
ここが受験の組み立てを一番大きく変えます。 専門試験は憲法・行政法・民法・ミクロ・マクロ経済と範囲が広く、 対策に最も時間を食います。逆に言えば、専門を課さない試験だけを狙うなら、 その時間はまるごと要りません。
ただし専門を課す試験を外すと、受けられる先が減ります。 都道府県と政令指定都市は専門を課すところが多く、 専門をやらない=規模の大きい団体の多くを最初から捨てるという選択になります。 どちらが得かは、志望先が決まっているかどうかで変わります。
運営者の見方:なぜ自治体はSPIに移っているのか
ここから先は数字ではなく、自治体の中にいた者としての見方です。 当サイトのデータからは確かめられないので、そう分けて書きます。
理由は受験者のためではありません。受験者が集まらないからです。 専門試験を課すと、公務員試験の対策をした人しか受けに来ません。 技術職・保健師・保育士は特に集まらず、採用予定数に届かない年が普通にあります。 民間型の検査に替えると、民間と併願している層がそのまま受けに来られる。
もう一つは作問と運営の負担です。専門試験の問題は自前では作れないので外部に頼みますが、 その費用と、会場・監督職員の手配が要る。テストセンター方式にすれば 会場も日程も外に出せます。職員を土日に出勤させずに済むのは、想像以上に大きい。
受験する側にとって、これは有利な変化です。テストセンターは日時を自分で選べるので、 同じ日に第1次試験がぶつかっていた自治体を併願できることがあります。 ここは第1次試験が集中している日と合わせて読んでください。
何段階あるか(面接は1回では終わらない)
原文から段階数が読み取れた661区分の内訳です。 読み取れなかった438件は入れていません(「最終選考」等としか書かれていないもの)。
| 段階 | 区分 | よくある中身 |
|---|---|---|
| 第1次まで | 25 | 書類・検査で決まるもの。試験当日が1日で終わる |
| 第2次まで | 513 | 第1次で絞り、第2次で面接。もっとも多い形 |
| 第3次まで | 123 | 面接が複数回。集団討論やプレゼンが挟まることがある |
123件は3段階以上あります。これは面接が複数回あるということで、 最終合格までに2か月から3か月かかります。在職中に受けるなら、 平日に休みを取る回数がその分だけ増えます。
もう一つ、見落とされやすいことがあります。 書類選考・エントリーシートが327件で課されています。 これは申込の時点で選考が始まっているということです。 締切前日に書き始めて間に合う分量ではありません。 締切が近い試験を見て、逆算して着手してください。
実際の書かれ方(原文のまま)
いま掲載している試験から、型ごとに1件ずつ挙げます。公式の書き方をそのまま載せています。
同じ「公務員試験」でも、準備するものがまったく違います。 志望先を決めてから対策を始めるほうが、順番として正しい。 自治体から探すで、受ける先の試験内容を先に見てください。
論文と集団討論は、独学で最後まで残る
論文・作文が338件、集団討論・グループワークが35件で課されています。 この2つは、参考書を読んでも点になりません。書いたものを人に読んでもらう、 相手役を立てて話す——他人が要る対策だからです。
予備校に通う価値がいちばん出るのはここです。逆に言えば、 択一の勉強だけなら独学で足ります。お金をかける場所を間違えないでください。
論文の題材はその自治体の課題から出ます。総合計画や事務事業評価を読んでおくと、 論文と面接の両方で効きます。面接で差がつく、志望先の調べ方に、 どの文書を読めばいいかをまとめました。
SPI等で受けられて、いま受付中のもの
締切が近い順に4件。受付中でSPI等があり「専門」が出てこないのは233件 (74団体)です。
SPIで受けられる試験に一覧があります。 ただし上に書いたとおり、原文に語が出てこないだけの試験も混ざります。 申し込む前に、必ず公式の受験案内で試験内容を確かめてください。